バック広げを使う自転車屋って…
- giorgioarumani888
- 8月23日
- 読了時間: 3分
ハイ、久しぶりのつぶやきです。
日々忙しく修理に励んでいる店主です。
連日パンク修理やタイヤ交換をしていると、時々やってくるフレームの後が広がってしまっている一般自転車があります。
普通に走っているだけなら全く気付かないんですけど、車輪を外そうとしてナットを緩める時に発覚します。
どんだけ緩めてもナットとフレームの間に隙間が出来ない。その代わりに車輪とフレームの隙間がどんどん増えていく。本来ぴったりサイズの車輪幅とフレーム幅がフィットせず、ガバガバの状態になってしまっているのです。
(この症状の悪影響は後程説明しますね)
これの原因となっているのが…

この【バック広げ】という工具です。
(このネタは他の自転車屋でも結構取り上げている内容なんですけど、あ・え・て・店主も呟きますw)
本来、後輪タイヤを交換する時には複数の工程を経て、車体から車輪を抜き取ってタイヤを外します。
しかーし! このバック広げという工具は、フレームから車輪を抜き取らず、力業でフレームを押し広げて隙間からタイヤを引き抜き、作業時間を短縮するためだけの工具です。
↑この文面を書いてるだけで、やばい工具な感じがハンパないです(;'∀')
ちなみに、店主が後輪のタイヤを交換する参考時間ですが、内装変速(3/5/8)でバンドブレーキ(ローラーやサーボでも同じかな)で全ケース(チェーンをフルカバーしているケース)だとすると、平均して15分くらい。外装変速(6/7)とかならもう少し早くなると思います。
(あくまでも単純作業時間なので、その他カルテの書き込みや他の方のお受付や別途の状態チェックなどもする事が多いので、実際のお伝え時間は少し余力をいただいてます…(;^ω^))
まぁ、その程度の作業時間なのに時間短縮って本当に必要なの?って感じです。
更にこの工具には工具メーカーもリスクを把握している為、電動車や小径車には使用しないように注意書きがされています。アルミフレームは強度も低く、パテ盛りみたいな溶接なので破損する可能性が高く、小さなフレームでは広げる幅も増えて破損する可能性が高くなるからだと思います。
けれどですよ!それ以外の自転車だって金属で出来てるんだから無理に力を加えたら金属曲がっちゃうじゃん!って感じです。金属疲労は絶対に蓄積されるでしょう。
更に、この工具を固定する場所が汚れていたりすると、広がっていく工具が滑ってしまい、フレームに傷をつける事もあります。そして、もう一度最初からやり直し…作業の遅い未熟な人ほどミスをしやすくなる工具なのです。
で、何度も広げられて歪んだフレームはもう元には戻りません。広がりっぱなしのフレームは、元に戻すときに車輪を固定するナットで無理やり押し戻されて行くのです。
その時にナットは必要以上のトルクで締めこまれ、過剰なトルクはハブベアリングにストレスを与えたり、車輪をはめるフレームのスリットを広げてしまったりします。
更に広がったフレームはバネの様に戻ろうとする為、締めこんだ車輪を固定するナットを外に押す力が発生して、緩みやすくなったりします。
最悪な場合、フレームの溶接個所にストレスがかかって割れたりすることも…( ノД`)
以前に比べると、バック広げを使用する自転車屋の数は減ってきているようですが、昔からの自転車屋では引き続き使用しているようですし、チェーン系の自転車屋でもいまだに使用しているのを見かけます。
ご自身の自転車を大切にするならバック広げを使わない自転車屋で作業をお願いしましょう。
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