ブレーキ調整、自分でやると危ないポイント
スポーツバイクのブレーキ調整でやってはいけないこと
「最近ブレーキが利きにくくなってきたな」
そう思って自分でなんとか調整する人は少なくありません。
もちろん簡単な調整で改善する場合もありますが、間違った調整はブレーキ性能の低下や思わぬ事故につながることもあります。
今回は自転車店に持ち込まれるケースの中でも特に多い、「やってはいけない調整」をご紹介します。
NG① レバーの引き代が増えたからワイヤーを引っ張る

最も多い失敗です。
ブレーキレバーの引き代が増える原因の多くは、ほぼパッドやシューの摩耗です。
新品ワイヤーへの交換直後は、ワイヤーが伸びる事で引き代が増える事もありますが、しっかりと馴染み出し処理をしていれば大きく影響しません。
しかし原因の本質を確認せず、
「レバーがスカスカ」→「ワイヤーを張ろう」
となってしまう人がいます。
確かに一時的にはレバーの反応位置は戻ります。
しかし、無理やり反応を早めたとしても、シューの限界は必ず来ます。
シューは支点を中心に扇状に動く為、シューの角度調整をせずにワイヤーだけ引くと、シューの上部ばかりが減ってしまい、交換時期が早まります。
そして、ワイヤーを引っ張ってしまうと、交換時に厚みのある新品シューが入る隙間が無くなります。
結果としてワイヤーを緩めなければならないのですが、一度固定ボルトで潰れた部分を再利用するとほつれたところは弱くなり、ブレーキをかけると破断する確率が上がります。
正しい調整をすれば、ワイヤーはそのまま使えた可能性があり、シューも正しく使い切れたかもしれません。
結果として交換コストが上がってしまうのです。
メカニカルディスクのパッドに関しては徐々に待機位置が変わっていき、片側しか動かないパッドは偏摩耗を起こします。無理に引っ張ったワイヤーはブレーキ操作をするたびに逆折れを起こします。その結果ワイヤーが傷み、破断した状態で持ち込まれる修理が後を絶ちません。
まず確認すべきなのはワイヤーではなく、パッドやシューの残量です。
NG② アジャスターを限界まで回してしまう

これも非常によく見ます。
NG①の内容なんか知ってるよと言う人の次の落とし穴がこれです。
レバーやキャリパーについているアジャスターは微調整用です。
ところが引き代が気になるあまり、何回転も緩めてしまう方がいます。
すると、
本体へのネジのかかりが浅くなる
アジャスターが傾く
強いブレーキングで破損する危険がある
という問題が発生します。
昨今のブレーキシステムの制動力は非常に強くなっており、レバーで引くワイヤーにかかる力も増えています。
組み付けが甘くなった部分には容赦なく負担がかかる為、部品の破損やケーブルの破断につながるのです。
整備の現場では、アジャスターのネジ山は少なくとも1/3以上本体に残している状態を目安にしています。
それ以下になるとアジャスターが傾きやすくなり、強いブレーキング時に大きな負担がかかります。
「まだ回るから大丈夫」
と思っていると大事になってしまいます。
NG③ アジャスターが斜めになっている
NG②の問題を回避した方で知らないうちに発生している現象です。
ネジ山はしっかりと残しているのに、なんかアジャスターが斜めになっている。
これは自転車が倒れた時にアジャスターがぶつかって曲がってしまった症状です。
見分け方としては、アジャスターの側面にはワイヤーを通すためのスリットが入っているので、それを確認してください。
均等な隙間ではなく、スリットが閉じてしまっている所があれば要注意です。
つぶれた所のネジ部は細くなり調整が出来なくなります。
真っ直ぐではないアジャスターはワイヤーにこすれる事があり、ワイヤーを少しずつ削ってしまいます。
この状態で無理に調整を続けるとネジ山を傷めたり、ワイヤーを傷めたりする原因になります。
発見した場合はアジャスターの交換をおすすめします。
NG④ ワイヤー調整だけで全て解決しようとする
ブレーキの効きが悪い原因は、
パッドの摩耗
ワイヤーの伸び(馴染み)
ワイヤー内部のサビ
アウターケーブルの劣化
キャリパーの動きの悪化
ブレーキ本体の固定力低下
ホイールの状態が悪化
など様々で、ここに書ききれないほどあります。
しかし調整だけで何とかしようとすると、本来交換が必要な部品を見逃してしまいます。
ブレーキは安全確保の最終砦です。
何故調子が悪いのかを正確に見極めて修理をしないと、修理の金額増加だけでなく、自分がケガするかもしれないというリスクも増加してしまいます。
まとめ
ブレーキ調整で最も多い失敗は、
「原因を確認せずにワイヤーを張ること」
です。
ブレーキレバーの引き代が増えた時は、
パッドの状態を確認する
ワイヤーやケーブルの状態を確認する
必要に応じて各部微調整する
という順番が最低限必要です。
ブレーキは命を預ける部品です。
調整に不安がある場合は、無理をせず自転車店で点検を受けることをおすすめします。





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