自転車をネットでポチる前に!
- giorgioarumani888
- 2025年11月2日
- 読了時間: 7分
相変わらず、日々自転車の修理に追われている店主です!
(修理専門店なので当たり前なんですがw)
さて、今回は自転車の値段についてお話をしようかと思います。
昨今、原価高騰や工場賃金上昇、為替レートの影響で自転車の値段も長期的に上がってきております。
ひと昔前に見かけた6千円~8千円だった最安値自転車も現在では2万円に届きそうな勢い!
米の値段も全然下がらないご時世ですから、自転車を購入する時は少しでも安い自転車を購入したくなりますよね。
お店で買うのはやっぱり高いから、〇〇ゾンとかだと安いの売ってるし!って思う気持ちも良く分かります。
でも、その安さに飛びつく前に少しだけ考えてみましょう。
安さには価値のある安さと価値のない安さがあります。全てにおいてそう言えます。
例えば、今購入しようと考えているそのカテゴリーの自転車が市場で平均して7万円くらいだとしましょう。
お店で見かけた自転車が通常価格7万円が6万円に値引きされていました。これは価値のある安さです。
でも、ネットの通販サイトで似たような3万円の謎ブランド自転車が販売されています。これは価値のない安さです。
前者は1万円のお得ですが、後者は1円もお得ではないのです。
ネットの方が3万も安いじゃん!と考えてしまう人間心理…もちろん良く分かります。
では、その3万円分の差額の意味を考えてみましょう。
自転車屋で販売する自転車は後の事を考慮して、粗悪な自転車を仕入れる事はありません。(たぶん)
そして入荷してきた自転車にトラブルが無いようにしっかりと整備した状態で販売します。(たぶん)
しょうもない自転車を販売して困るのは自分達だからです。
でも、そのまま販売してても競合と比較されてなかなか売れないので自転車屋は身を削って値下げをします。
ネットで販売している謎ブランドの自転車はそうではありません。
そもそも整備して販売するという概念はほぼありません。
(自転車屋直通販などは整備済みで販売しているケースもあるようです)
【到着後に自転車店などで整備を受けてください】と一言添えて丸投げ状態で販売なので、基礎的な組み立て料金を考える必要がありません。メーカー出荷の横流しみたいな感じです。
そして、必要な処理や必要な精度を削って本体価格を値下げをします。
とある例で説明してみましょう。
ネットで購入した3万ほどの前後にサスペンションの付いた、ディスクブレーキのMTB。
中に入っていた一枚の紙に書かれていた説明書を見ながらご自身でで組み立てられたそうです。
半年ほど使用した状態でパンクしたのと、全体的な不調を感じたので、当店にお持ち込みされました。
最近はネット購入自転車の駆け込み寺みたいになってます(;^ω^)
不調と思われているのは大きなもので言うと三つ。
・ブレーキが利かなくなってきた。
・変速機がうまく動かず、チェーンが外れてしまう。
・ハンドル回りがガタガタする。
話の流れと初見である程度の状態が把握できたので、まずは初期組み立てのし直しをするかというご相談とパーツ不備が出ているので、パーツ交換の可能性がある旨をお伝えして予想金額もお伝え、パンクに関してはタイヤのブロックが剥離しているので交換が必要と説明した所、いろいろとお考えになられた上で修理のご決断をされました。
価格帯にもよるのですが、この自転車はメーカー出荷時の状態が9分組と言われる状態だったと思われ、最安値の工賃でも当店では8千円ほどの組み立て料がかかります。
自転車屋さんは自分のお店で販売する際にこの組み立て料というのをサービスしてるんですね。超お得です。
まずは後輪のパンク(というか、タイヤとチューブの交換)からスタート。
車輪を外そうとしたら後輪がそもそも真直ぐ付いていない状態。
車輪を戻すときに正しく戻しちゃいます。
前輪も同様にセンターがずれていたのでこれもブレーキ操作に影響が出るのでサクサク修正。
タイヤを外すと中から出てきたチューブがすごく固く、ビニールみたいな触り心地の光沢のあるゴム(;'∀')
タウンユースで使うのであれば、ブロックタイヤよりもスリックタイヤが良いですね。
安いブロックタイヤだと固いアスファルトでタイヤの出っ張りが引きちぎられてしまいます。
タイヤ交換が終わったら、基礎的な固定部分のチェック&増し締めから始めていき、ブレーキケーブルやシフトケーブルの通し間違いの修正やペダルの固定力不足などをサクサクと直していきます。
ボトムブラケットという軸の所にもガタつきが出ており、これは変速機に影響してしまう為、少しだけ増し締め。
後のサスペンションのボルトも緩み有り…締め直します。
で、肝心のブレーキの利き具合なのですが、見るからにどこのブレーキかわからないメーカー名…(-_-;)
レバーを握るとキャリパー本体がしなる状態…取付位置も正しくなく、キャリパーのセッティングも出ていないのでサクサク修正。パッドの消耗はしていないのですが、素材がレジンではないのか?ちょっとアヤシイ素材です。
お持ち込みいただいた時よりはかなり制動力も上がりましたが、本体がたわんでしまう為ディスクブレーキの利きとしては店主的に不満が残る感じです。出来ればもう少しマシなブレーキを取り付けたいと思ってしまいます。
次に変速機です。この変速機もどこ製?って感じのブランドです。
前の変速に関しては真直ぐについておらず、高さも合っていない状態。ガイドが削れていなくて良かったと一安心。
操作をしようとしたらシフトレバーが固定されておらず動いてしまうのでまずは増し締め。
取付位置を修正してから可動幅の修正。後も同じく可動幅が合っていないので修正。どちらも引き代調整してとりあえず変速は復旧。
最後に、ハンドル回りのガタつき。
初見で予測したのは、ヘッドパーツと言われるステアリング軸に使用されているベアリングの崩壊。
ハンドル部分を解体してみると、案の定ボロボロに崩れた茶色いベアリングが落っこちてきました。
おそらく出荷時にグリスが塗布されていなかった事が原因でしょう。グリスの痕跡すらありません。
ベアリング受けの部分も錆が酷く、ここに関してはもうマルっと交換するしかありません。
工賃込みで大体1万2千円ですよ…(-_-;)
古いのをカンカン抜き取って、たっぷりのグリスを塗布した新品をグイグイ嵌めて、ハンドルのガタつきは解消。
ベアリングを使用している所は他にも多数あるので、今後がちょっと心配です。
そして、気になるのは前のサスペンションのスライド部分に隙間がある所。
厳密に言うとサスペンション機能はほぼ無い「なんちゃってサスペンション」なので、お受付時に状態を確認してもらい、状況の復旧は出来ない事をお伝え済みなのですが、そもそも最初からあったガタつきなのか、段差の乗り上げなどで発生したガタつきなのかはすでに不明な為、今後の注意点をお伝えするだけに留まりました。
さて、ここで今回の修理料金なのですが、ざっくり2万7千円です。
3万円で買った自転車が半年後に修理で2万7千円です。
もう一台買えます。
これが必要な処理と必要な精度を削った安さの結果です。
もちろん、修理代金や現状の状態、今後のリスク等、このお話は最初のお受付段階でお話させていただきました。
でも、お客様は購入してまだ半年で買い替えるという決断に踏み切れなかったようです。
そのお気持ちも良く分かります。
とりあえず、一度出来る範囲で直して、今後どうしても修理をしないといけない状態になったら買い替えますとの事でした。
あなただったらどうしますか?
ネットで安い自転車はたくさん出ています。
中には架空の定価で大幅値引きみたいな表記になっている自転車も見かけます。
その自転車が本当にお買い得なのか、ただの安物なのか判断が出来ない時はぜひ自転車屋で購入してください。
最近では〇〇カリや〇〇ティーの個人売買で入手する方もいらっしゃいますが、自転車屋が見たらジャンク品と判断する物も使用可能として取引しているケースが多々あります。
修理箇所が多すぎて、直したら新車の方が安いなんて事もざらです。
自転車の修理で生計を立てている当店がこんなことを言うのもなんですが、修理を減らして維持費を押さえるなら正しい購入方法を選択した方が良いのではないかな~と思います。
それでもネットで購入した自転車でお困りであれば、店主はいつでも受け止めます!
良い自転車ライフを!





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